映画と家の日記 その他⑩

月曜日

フランク・ペリーの『去年の夏』を見る。もちろん、海外版で字幕はないがこっちは割とニュアンスが掴んで見れた。海辺で男子二人組はバーバラ・ハーシーに出会う。バーバラ・ハーシーは動物を嬲り殺すような感覚で、冴えない女の子を見つけて散々いたぶり尽くす。フランク・ペリー、独特の厭な感じは見ていて辛くなるが、怖いもの見たさの方が勝って見てしまう。もうしばらくフランク・ペリーを見ていきたい。

 

火曜日

『エンティティー 霊体』を見る。遅い時間に見たが、かなり見入ってしまう。幽霊に犯されるという女性の話で、主役は昨日と同じバーバラ・ハーシーだ。こう書くとヴァーホーヴェンの『インビジブル』みたいな映画に思えるかもしれないが、あくまで被害者側のバーバラ・ハーシーの視点で描かれる。ハーシーの幽霊話は最初は狂言だと疑われるが、周りの人間がいる中で怪奇現象が起こり実際に幽霊はいるかもしれないということが証明される。その時に怪奇現象が起こっているにも関わらず、ハーシーは感極まって泣いてしまう。自分が信じていたものが正しかったというとても感動的な場面に見えて心打たれる。最終的に精神的幻覚なのか、物理的現象なのか大型の施設を使って科学的な検証まで始まってゴーストバスターズみたいな連中まで出てくるのも面白い。エンドロールを見るとこれは実話らしい。

 

金曜日

金曜日。映画を2本ハシゴする。

イーストウッドの『クライ・マッチョ』を見る。例によって冒頭の何分か寝る。起きたらすでに少年と旅をしていた。『グラン・トリノ』ほど深刻過ぎず、『運び屋』ほど活劇もしていない。ゆるやかな映画で見ているだけで心地よかった。

リドリー・スコットの『ハウス・オブ・グッチ』。正直、あまり乗れずに終わる。田舎者のレディー・ガガはじめ癖のあるやつばかり出てくる。そして、好き勝手にやって自滅していく様をたっぷり2時間かけて描いている。分かりやすく露悪的だ。リドリー・スコットは良くも悪くもやはり悪趣味な監督のように思う。

家に帰ったら24時過ぎていて、途中で買った牛丼を食べて寝る。

 

土曜日

家に引きこもる。

フランク・ペリーの『Play It as It Lays』をYouTubeで見るが、無字幕だと全然分からなかった。

続けてジョン・ハフの『ピグルス 時空を超えた戦士』。ジョン・ハフがこんなアクション・コメディを撮っていたなんて知らなかった。ひたすら明るくてて陽気なタイムスリップもの。細部まで覚えていないが、気分転換にちょうど良くて、楽しんで見ることが出来た。

続けてジョン・ハフの『ブラス・ターゲット』。ピグルスと一転して、シリアスな活劇だった。『ジャッカルの日』のような暗殺者の映画で、暗殺者をマックス・フォン・シドー、それを阻止する軍人をジョン・カサヴェテスが演じている。ヒロインはソフィア・ローレンで、演者だけで圧がすごい。淡々と暗殺するまで、それを阻止するまでを描いていてテンポ良く進んでいく。なかなか面白くて楽しめた。

最後に『シングス 悪魔のバグズベイビー』。まさにトラッシュ映画でここまでひどいのはひさしぶりに見た。字幕が付いているが支離滅裂で何が起こっているのか最早わからない。男が家の中で出来の悪いクリーチャーに殺されていくだけ。

 

火曜日

ジョー・ダマトの『ディープ・ブラッド復讐のシャーク』が届いたので早速見る。友達がサメに殺されてしまったから復讐するというのが大筋にあるが、その友達同士の青春模様を所々に挟んでいてるので、爽やかな感のあるサメ映画だった。サメ映画なのに全然人が死なず、サメが出てきても完全に別撮りでサメと人が一緒にうつることがないという脱力感。良くも悪くも午後ローで流れてそうな薄味のB級映画だった。

 

金曜日

バイトの昼休みに職場の近くの書店に行って映画秘宝のベストテン号を買う。メンツが少し変わっていてやっぱりゴタゴタがあったからなのかと思う。

テアトル梅田でジョン・カーペンターの『ニューヨーク1997』を見る。大好きな映画で、テーマ曲が流れてくるだけでかっこよすぎて胸が震える。疲れていて少しうとうとしてしまうところもあったが、やっぱり最高だ。カート・ラッセルの演じるスネーク・プリスキンに本気で憧れていたときが少年時代にあった。

続けて塚口サンサン劇場で『アンテベラム』。ほとんどネタバレになるが、シャマランの『ヴィレッジ』じゃんという感想しか残らない。高橋ヨシキが今年のベストにあげていたので、期待して二番館で見に行ったが全然乗れなかった。最後にヘリコプターをうつしたショットなどこの設定を皮肉っているのだろうか。

家に帰って飯を食べてから秘宝のベストで山崎圭司さんがベストにあげていた『降霊会 血塗られた女子寮』をU-NEXTで見る。女子寮の中で次々に殺人が起こるというスラッシャー映画の典型的な設定。ファイナル・ガールである主人公のキャラクターが肉弾戦を繰り広げたり、女同士でキスをしたりと他ではあまり見ないほど強くて逞しい。小規模な作品ながら、かなり楽しめた。

結構夜遅くまで映画を見ていたので、それからすぐに寝る。

 

土曜日

朝起きて恒例の髪を切りに行く。

梅田ブルク7レニー・ハーリンの『ザ・ミスフィッツ』を見る。突き抜けて好き勝手やっていて、深刻な部分が微塵もない映画はどうかと思う人もいるかもしれないが、僕は大好きだ。この映画だともっと言えば、葛藤すらあまりなくて一本道のストーリーをあっけらかんと提示しているだけで映画になっていて、その姿勢も応援したくなった。

続いてプラネットでマイケル・カーティスの『海の狼』を見る。エドワード・G・ロビンソンが独裁者のように君臨している謎の船で、ロビンソンと船員の対立が描かれる。脚本はロバート・ロッセンだけあって骨太な作りで、船が沈むに至るまで徹底的に対決する。沈み行く船の中で、アイダ・ルピノとの『タイタニック』のようなメロドラマがなんだか泣けた。

テアトル梅田で昨日に続けて『ザ・フォッグ』を見るが、結構寝てしまってあまり書けない。

最後にシネ・ヌーヴォ三隅研次の『なみだ川』を見る。Hさんと約束をしていてシネ・ヌーヴォでお会いしてVHSテープを10本貸してもらう。なんでこんなのを持っているのか分からないほどトラッシュな映画が多い。Hさんとほとんど初めてぐらい映画の話をして、本当に造詣の深い人だとしみじみ思う。『なみだ川』は傑作で、最後の最後に完全にもっていかれて泣いてしまう。

家に帰ってひさしぶりにスペースで知り合ったSさんと喋る。サメ映画などについて教えてもらって自分もジョーズなどを二作目以降も見ようかと思った。

 

日曜日

今日は家に引きこもる。日曜日は大抵そうだ。

アダム・マッケイの『ドント・ルック・アップ』がどうしても見たくてNetflixに入り直して見る。確かに面白かった。この豪華スターでドタバタやってるのが年末感というか。それでも、地球は滅んでしまうところまでちゃんと描いて、最後に晩餐を囲んでいるところは温かみがある。レオナルド・ディカプリオの感情的な演技が個人的に大好きだ。

続けて三宅隆太さんが紹介しているので知ったオズ・パーキンスを2本続けて見る。『フェブラリィ』と『呪われし家に咲く一輪の花』。正直、全然良さが分からず、何度も寝そうになる。『フェブラリィ』はまだ少しは話が掴めるが、『呪われし家にに咲く一輪の花』は話の意味が全然分からなかった。こういう話をソフトストーリーというらしいが、やはり普通のジャンル映画の方が好きなんだと思った。